カテゴリ:母子草( 6 )




「脱皮」と「おかげ」

  「脱皮」と「おかげ」   
     2002年3月 ~ 山陰中央新聞「女のひとり言」掲載より 原文のまま~

 胸がキューンと熱くなる別れのシーズンが近づくと、
小学校卒業式の日の先生のお言葉が昨日のことのように思い出される。

担任だったその先生は三年前お亡くなりになったのだが、
私たち教え子にされた最後のお話は、三十年たった今でも
深く心に残り、生きる力を与え続けている。


 式後、教室にもどってみると、先生の目には涙がたまっていた。
シーンとなった卒業生を前にゆっくりと大きく「脱皮」と黒板に書かれた。
セミの脱皮を例えに、古いものを脱ぎ捨て新しい世界へ飛び立つ成長の喜びを表現されたのだ。

 また、 「おかげ」ってどういうことなのかを一人ひとりに考えさせられた。

 もうすぐ中学生になろうとしていた私は親に対して素直に感謝の気持ちを表すことができない
反抗期?の中にいたので、親や先生方、周囲の方々の支えがあって
ここまで成長できたということをすんなり認められずにいた。
感謝しなさいと強制されているような気がしたのだ。
振りかえると恥ずかしくてたまらない。


 卒業後、この「脱皮」と「おかげ」はずっと私の胸の奥につっかえていて、
先生からのメッセージの意味を繰り返し探っていたように思う。


 昨日より今日、今日より明日、一つでも何かが出来るようになったり、
生活の中でちょっとした新しい発見をしたり、成長していけることは本当に有り難い。
そしてその成長には必ず周囲の人との関わりがあり、支えがある。
「おかげ」があって「脱皮」していけるのだと素直に感じられた時、
大きな声で叫びたくなった。  「先生、生きる力をありがとうございます。」      (母子草)
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by poem89 | 2010-03-06 22:32 | 母子草

春風きって


春風きって』   2002年2月

この春中学生になる子どもたち三十三名と、新通学コースをサイクリングした。
毎年、公民館の子ども会が計画し好評だ。

 ピカピカの新中学生は、これまたいずれもピカピカの自転車だが、乗り方はあぶなっかしくてぎこちない。
まず、交番のおまわりさんの安全教室から始まる。
万が一事故に遭った時の対処のしかた、片手信号の実技指導など全員真剣に講習を受けていた。


 さぁ、いよいよ中学校まで出発。前途を祝福するかのようなポカポカ陽気で、
ほほに当たる風も気持ちいい。
道端に咲くたんぽぽ、オオイヌノフグリが可愛くてつい立ち止まる。
少なくなったと思っていたのに、つくしの群生にもあちこちで出会った。
田起こしの土の匂いもなつかしい。
普段、車で通る道も自転車だといろんな発見があって新鮮だ。


 中学校に着くと教頭先生が「自転車通学では、まず自分の命を守ってください。
入学式には待っていますよ。」と温かく出迎えてくださった。


 帰りは、お楽しみの堀川遊覧コース。
初めて、こたつ舟に乗って、堀川からの街並みを堪能するはずだったが、
子どもたちは友達とのおしゃべりに夢中。青春まっただ中、楽しくてしょうがないらしい。


 船からあがり再び自転車で公民館へ帰るのだが、片道約五キロのアップダウンのコースである。
坂道になると「おばさーん、早くー。がんばって!」と五十メートルも前から声がかかる。
変速切り替え付きの自転車でスイスイ春風きって走る子どもたちにヒーフーとママチャリで追いかける私。
「待ってよー。」と言いながら心の中では“楽しい中学生活が待ってるよ!がんばってよ!”と背中に向かってエールを送る。

 最後に公民館で会食。お母さんたちの手作りカレーの味は、また格別だった。
私は日頃の運動不足がたたって、数日後筋肉痛が…。
解消するためにたまにはサイクリングに出かけようかな、春風きってさっそうと。   (母子草)
 
2002年2月 山陰中央新聞「女のひとり言」掲載より
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by poem89 | 2010-02-26 22:33 | 母子草

ずっとずっと想っているよ

ずっとずっと想っているよ

「『親』は木のそばで、そっと立って見ているものなんだって。」と、
漢字の成り立ちを勉強していた小学生の娘が意味深に私に教えてくれた。

 そういえば、この子が鉄棒の逆上がりの練習をしていた時、
つい手を貸そうとする私に「お母さん、手、出さんで。見とってよ。」と言ったことがあった。
その時、「親は手を出したくてもぐっと押さえなきゃ。」と心に言い聞かせたものだった。

 まだまだ子育て真っ最中の私なのだが、この「じっと待つ」「見守る」ことができなくて、
やる気の芽をつんでしまったことがいかに多かったか反省しきりである。
中高校生の子ども達には手は出せないが、「勉強は?」「宿題終わった?」と
自分でもイヤになるくらい口うるさい母親になってしまった。

 思い返せば、父は、短気な私をじっくり寛大な目で教育してくれたなぁ。
「あと半年で老人手帳がもらえる。」などと苦笑していたが、それを手にすることなく、
草刈ボランティアの作業中、転落事故で帰らぬ人となってしまった。

 お彼岸に帰られなかったので、生きていたら七十二歳の父の誕生日に墓参りをした。
お父さん、心配していた母さんは、二年半で強くなったよ。趣味を広げ、多くの人に支えられて充実した日々を送っているから安心して。

 それより彼の岸で気掛かりなのは、毎日ドタバタしている娘一家のことでしょう?
ハラハラさせてごめんなさい。相変わらず、たよりない娘ですが、あたたかく見守っていてください。

 私も「ずっと見ていてね。」という我が子からの呼びかけにこたえて、
「ずっとずっと想っているよ。」というメッセージを
親として送りつづけられたらなと思う。

ハハコグサの花言葉のように…。         

2002年3月  (母子草)
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by poem89 | 2009-08-16 23:41 | 母子草

ぬるま湯の生活

ぬるま湯の生活   
       女のひとり言 山陰中央新聞掲載(2002年2月)

 この冬一番の寒波到来。
みるみる二十センチの積雪となり、久しぶりの雪かきに心地よい汗と疲れ。
冬はやっぱりこうでなくっちゃ、と楽観していた私は、
夕食準備をしながらあせった。


お湯が出ない!水は出るのだが給湯器の故障なのか、お湯が出ないのだ。
楽しみにしていたお風呂のお湯も。


 市のガス局へ電話すると、今日は同じような苦情が殺到し、
修理は明日になるとこと。

スポーツで汗いっぱいかいて帰ってきた高校生の娘は大騒ぎ。
「うっそー!やだー!髪洗えないなんて、あした学校行けない。
なんとかしてよー。」
かなりわがままである。

温泉好きの中学生の息子は、「こんな時は、松江温泉行こう!」そんな暢気なこと言っている場合じゃない。
外は吹雪、道路はアイスバーンなのだ。

マイペースの末っ子は
「ま、いいんじゃない。死にゃーせん。」それ、お父さんの口癖なんけどなぁ。


 文明の利器にどっぷりつかっている私たち親子のなんと弱いこと。
蛇口ひねればお湯が出る。
当たり前のように…。

今回は、お湯が出ないだけで水、電気、ガスのライフラインは
しっかり確保されているのだから、
別に騒ぐほどのことではないのに。


 この夜、お風呂タイムのなかった我が家では、
非常時の心構えについて話し合うという貴重な時間を
もつことができた。

いつ、どんなことが起こるのかわからない世の中、
しかも資源は無限ではない。

日々節約を心がけ、すべてに有難うっていう気持ちで生活したいねと、
子どもたちには言い聞かせたものの、
ぬるま湯の生活を送っていては難しい。

これは親が実行してみせて初めて伝わるもののようだ。

       (母子草)
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by poem89 | 2009-08-05 23:06 | 母子草

模様替え


2002年 2月 『女のひとり言』掲載~山陰中央新報

『模様替え』

 「ソファ買おうよ。」と中学生の息子が言い出した。
忙しさにかまけてここのところ掃除も手抜き、明るい陽射しにホコリも目立ってきた。
この散乱した部屋は今の自分の心を表しているのだと思うと、何とかしなくっちゃという焦りにも似た強迫観念に襲われる。
 そんな時にソファ?
これ以上物を増やして、狭くなる上に掃除も余計大変になるから反対!絶対反対!
しかし、「絶対に居心地良くなるから。中古でいいの見つけたから。」とあまりに熱心なので、
皆でリサイクル店に見に行くことにした。
 
 息子推薦のソファを見ると、少々傷んではいたが、高さ、幅、色合いといい、
なんだか我が家にピッタリ合いそうな気になってきた。
頭の中で置き場所を想像してみる。
結局、今ある物を整理整頓スッキリさせてソファを置くことにした。

 半日かかって模様替えに挑戦した。テレビ、本棚、タンスの大移動だ。
まぁ、家具の後ろってこんなにもホコリたまってるのねぇ。
模様替えのおかげで普段手の届かないところもスッキリ掃除できた。

 最後に、購入したばかりのソファを設置。
ほぅ、こんなレイアウトもなかなかいいね。
息子の予想通り、あたたかく居心地よさそうな部屋に変身した。
春の模様替え作戦大成功だ。 

 一部屋のイメチェンに満足すると、今度は台所が気になり始めた。
冷蔵庫の中もキレイにしたいな。
取りかかろうとする私にすかさず、
「今日はもうやめとけ。明日寝こんでしまうから…。」と夫は妙に優しく言った。
「そうします。」私も素直だ。

 縁あって購入された中古のソファにくつろいでお茶を飲む。 
気分一新、家族の顔も違って見える。    (母子草)
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by poem89 | 2009-07-31 21:04 | 母子草

お願いコール

※2002年2月~6回に渡って、山陰中央新報の家庭欄・女のひとり言のコーナーに
投稿したミニミニエッセイ(?)です。


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ペンネーム『母子草』でした。 7年以上前に書いたもので、
今振り返って読むと、とってもとっても気恥しく
文章も直したいとこ結構あるのですが、 掲載されたそのままを、投稿します。


【お願いコール】 2002年 3月

 年度末が近づき、お願いコールが飛び交っているのではないだろうか。
何の「お願い」か?
学校のPTAをはじめ、町内会、趣味のサークルまであらゆる場面での役員交替でのそれである。

 決め方はそれぞれなのだろうが、例えば、我が子の通う中学校のクラス役員は
名簿投票で決まる。
話し合いの場をもっても、結局くじになるので、投票という形に落ち着いたのかもしれない。

しかし、そこでの判断材料といえば、名簿の五十音順。
で、最初か最後の人が「ご当選」ということになる。

 地域の団体の場合、前任者かその会の長が、引き受けてくれそうな人に前もってアタックする。
が、断られてあちこちお願いに歩いておられる姿をしばしば見かける。

 どのように決めるのが民主的で最良なのかはさておいて、
なぜそんなに「役」が敬遠されるのだろう。
特に子どもに関係する役員であれば、いつかは順番でお世話役をするのが
筋?ってもんじゃないかなと思うのだが、できる状況、条件はそれぞれなので
強制はできない。
お互いさまの気持ちでいれば、そうそうもめる事はないのに・・・と思う私って甘いのかな?

 「子どもたちのためなのよ。お願い!」と手を合わせて頼まれると、たいてい
「そうね、私でできることなら。」と引き受けてしまう。
しぶしぶYESより、にこにこYESのほうがお互い気持ちいいと思う。

「あの人、好きなのよ。」と噂されているかもしれないが、ここ数年開き直ってきた。
能力以上ののことを要求されるよう場合はもちろんNOと言う。
軽く受けたがために、何足ものワラジを履いて後悔したこともあったが、
何よりも、ただで(?)多くのことを学べるチャンス!ステキな人との出会いも楽しみなのだ。
 お願いコールから新しい春へ・・・GO!       (母子草)
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by poem89 | 2009-07-29 21:36 | 母子草

夢にむかってバク進するバクの日記
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